手足のしびれや痛みの原因とは

足のしびれのイメージ写真

手足のしびれや痛みは主に頚椎(首の骨)や腰椎(腰の骨)に起因していることが多い疾患と言えます。
日常生活に支障をきたすケースも多く、いち早い治療が求められます。ここでは手足のしびれ・痛みの主な原因となる疾患を取り上げています。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎(首の部分)にある椎間板が加齢をはじめ、負担のかかる姿勢や運動、あるいは外傷によって一部が変性し、それによって椎間板から髄核が脱出、これが脊髄や神経根を圧迫するなどして痛みなどの症状が現れている状態が頚椎椎間板ヘルニアです。
30~50歳の世代でよく起きるとされ、第5頚椎と第6頸椎の間が最も変性しやすくなります。

主な症状は、首や肩の痛みやこりといったものですが、髄核によって脊髄が圧迫されていると上肢(肩関節から手指までの部分)や下肢(股関節から足指までの部分)に痙性麻痺が、また神経根が圧迫されていると片側の上肢に疼痛がみられるほか、感覚障害や運動障害も伴うようになります。

手根管症候群

手根管(手首付近にある)の中を通っている正中神経が何らかの原因によって、締め付けられたり、圧迫を受けるなどして、正中神経が麻痺し、そのことによって手のひら側の親指から薬指あたりにしびれや痛みなど様々な症状が起きている状態を手根管症候群と言います。
中高年の女性に発症しやすく、原因に関しては、手首を酷使する仕事やスポーツをしている、手根骨を脱臼・骨折した、ガングリオンなどの腫瘤による圧迫、閉経期や妊娠・出産期の女性にみられやすいといったことのほか、原因不明のケースも少なくありません。

主な症状ですが、正中神経が働くとされる親指、人差し指、中指と薬指の中指側の半分程度の掌側などに現れる、しびれやピリピリとした感触、疼痛などです。疼痛については夜間に起きることが多いと言われています。
治療をするにあたっては、まず患部を安静にすることから始めるようにします。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板とは椎骨と椎骨の間にあるもので、脊椎(背骨)にかかる衝撃を和らげるほか、脊椎の可動を可能とする部位でもあります。
この椎間板(腰椎)が加齢もしくは姿勢の悪い状態を続ける、スポーツ、外傷などによって一部が変性、これによって椎間板から髄核が脱出し、これが神経(神経根 など)を圧迫し、腰痛や足に痛みが起きている状態を言います。
なお椎間板は腰椎以外にも存在するわけですが、変性しやすいのがこの腰椎と頸椎(首の部分)で、腰椎では第4腰椎と第5腰椎の間で起きやすいと言われ、20~40代の世代が発症しやすいと言われています。

よく見受けられる症状は、腰痛と足(下肢)の痛みですが、足については片側の痛み(しびれやだるい感じも含む)がほとんどで、ヘルニアが大きいと両側の足でみられるようになります。
なお髄核による圧迫で脊髄が障害を受けると痙性麻痺、神経根が障害を受けるとお尻の部位や片側の足に疼痛、馬尾神経が障害を受けると膀胱直腸障害などが起きるようになります。

当院では腰椎椎間板ヘルニアの治療に椎間板酵素注入療法(ヘルコニア注入)をご案内できます。

腰部脊柱管狭窄症

主に加齢による腰椎の変性が原因とされ、それによって脊柱管が狭窄し、様々な症状が現れている状態を腰部脊柱管狭窄症と言います。
50歳以上の方が発症するとされ、一口に脊柱管の狭窄と言いましても馬尾神経が圧迫されている場合と神経根が圧迫されている場合で症状が異なります。

馬尾神経では、両方の下肢や会陰部にしびれや灼熱感などがみられ、膀胱直腸障害が起きるようになります。
また神経根の場合は、お尻の片側や下肢で疼痛がみられるようになります。
どちらのタイプであったとしても最も特徴的なのは、間欠跛行です。
これは、長時間歩行すると足の痛みやしびれで歩けなくなるのですが、少し休むとまた歩けるようになります。
これを繰り返している状態を言います。

なお、比較的若い世代の方でも重労働や重いものを持つなどの職業で腰部などを酷使、何かしらの原因で腰を痛めたということで発症することもあります。

坐骨神経痛

坐骨神経とは、腰から足の爪先まで伸びている末梢神経になります。
何らかの原因で同神経が圧迫を受けてしまい、それによって腰もしくは尻のあたりから膝や足首の外側にかけて痛みやしびれ(大半は片側)、間欠跛行(長時間歩くと痛みで歩けなくなる、休み休みでないと歩けない)、足に力を入れることができないといった症状があるという場合、坐骨神経痛と診断されることがあります。

上記のような症状が現れる主な原因として考えられているのが、腰椎にある骨や椎間板の変形です。
具体的には、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症といった疾患を発症することで、坐骨神経痛がみられている可能性が高いです。
そのため、医師が詳細な検査が必要と判断すれば、X線撮影(レントゲン)、CT、MRIなどの画像検査を用いて、同神経痛の原因を特定するようにします。

治療に関してですが、坐骨神経痛による痛みが激しいという場合、消炎鎮痛剤や神経ブロック注射を使用するなどして、痛みを軽減させるようにします。
このほかにもリハビリテーションによる理学療法として、筋力をつけるための運動療法、ホットパックを患部につけて血行を改善させる温熱療法などの物理療法といったことも行います。
これらは全て保存療法となりますが、それでも改善が困難ということであれば、手術療法となります。