肩こりや肩の痛みの原因とは

肩こりのイメージ写真

肩こりには明確な疾患に起因する場合と、日ごろの生活などに起因する場合、そして心に起因する場合と3つのケースが考えられます。
詳しくは以下に述べていますが、まずは問診や検査などを通して診療を行っていきます。
またいわゆる肩の痛みは、骨そのものよりも周囲にある筋肉や腱などに何らかの異常が発生して起こることが多くみられます。
ここではいわゆる五十肩や四十肩、肩腱板損傷について取り上げています。

肩こり

肩こりとは、首、肩甲骨、あるいは肩の周辺に、だるい、重い、張る、痛いといった症状が現れている場合の総称した呼び名です。
なお肩こりの原因はひとつではなく、主に3つ(症候性肩こり、本態性肩こり、心因性肩こり)に分けられます。

症候性肩こりは、何らかの疾患を発症していることが原因で起きる肩こりで、五十肩、関節リウマチ、頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症など主に整形外科領域の疾患が挙げられますが、それ以外にも、循環器や消化器など内臓の疾患(狭心症、心筋梗塞、胃炎、膵炎、胆嚢炎 など)、眼精疲労、更年期障害、副鼻腔炎となどが原因で肩こりが出ることもあります。

また本態性肩こりは、原因とされる疾患はみられないものの肩こりの症状があるというケースです。
この場合は、長時間のデスクワークなどでみられる同一姿勢(前かがみ、猫背 などの不良姿勢)が原因とされる頸部や背部の筋肉の緊張、運動不足、冷房などによる冷えの影響、片方の肩に集中してショルダーバックを掛けたことで左右の筋肉にアンバランス差が生じることで起きるといったことが考えられます。

3つ目の心因性肩こりについては、ストレスやうつ状態、自律神経障害などが引き金となって起きる肩こりになります。

当院では、原因不明の肩こりを訴える患者様につきましては、問診や触診のほか、画像検査(レントゲン など)を行うなどして特定するようにします。
原因が特定されれば、その原因に合わせた薬物療法や生活指導を行っていきます。

肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節の骨や軟骨に異常はみられませんが、周囲の筋肉、腱、靭帯が炎症、ケガ、老化などによって、肩に疼痛や肩関節の可動域制限がみられている状態が肩関節周囲炎です。
なお肩関節周囲炎には、腱板炎、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰性腱炎なども含まれますが、五十肩の患者様が圧倒的に多いことから肩関節周囲炎と五十肩が同意語で使われることもあります。

なお五十肩の原因は特定されていませんが、肩関節周囲の筋や腱などが加齢によって硬くなるなどして動きが悪くなることで肩の疼痛や肩関節の可動域制限が起きると考えられています。
この場合は片側のみに起きることが多く、何の前触れもなく突然痛みなどの症状がみられるようになります。
数日~数週間程度は強い痛みがみられ、最初の2日程度は肩を少しでも動かすと激痛がみられ、安静にしていても痛みで眠れないということもあります。
それでも時間が経過することで痛みは和らぐようになりますが、関節が動かしにくくなります。なお痛みなどの症状は1年程度続くと言われています。

検査について

関節可動域検査をはじめ、他の疾患の可能性も調べる画像検査(レントゲン、CTなど)もするなどして診断をつけていきます。

治療について

保存療法が基本となります。
肩に強い症状がある場合は、患部を安静にするほか、鎮痛薬(NSAIDs)の内服、関節内注射などで痛みの症状を抑えるようにしていきます。
また痛みが余程強くなければ、関節が硬くならないように動かせる範囲で肩を動かしていきます。
そして、痛みをある程度コントロールできるようになれば、リハビリテーションによって肩関節の可動域を改善させていきます。
なお痛みが緩和されない、可動域が改善されないなど保存療法だけでは困難という場合は、全身麻酔下による肩関節鏡視下手術が行われます。

肩腱板損傷

肩関節を囲っている4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱の総称が腱板です。
この腱板が損傷してしまい、部分的あるいは全部が断裂してしまっている状態が肩腱板損傷です。
中年以降の男性に起きやすく、主に利き腕でみられることが多いです。
主な症状は肩の痛みで、運動時だけでなく、安静時や夜間に疼痛がみられるほか、脱力も現れるようになります。

原因については、腱板の老化による変性が多いですが、そのほか外傷によって生じる断裂などもあります。
なお五十肩のような肩関節の可動域制限、拘縮といった症状はみられても軽度なもので、関節が硬くなることは少ないです。

検査について

超音波診断措置

視診や触診はもちろん、単純X線撮影やMRIといった画像検査を行うなどして、腱板の状態を確認し、断裂などが確認されると肩腱板損傷と診断されます。
当院では特に、超音波診断装置を使って検査を行うことで、迅速な診察が可能になっています。

治療について

治療に関してですが、患部を安静にすることが大切ですので、固定用装具などを用いて安静にします。
痛みがある場合は、鎮痛薬(NSAIDs)の内服やステロイド薬の局所注射を行っていきます。
また肩の動きを改善させるための運動療法として、リハビリテーションも行うようにしてください。

上記の保存療法では痛みや運動障害が改善されないという場合は、上腕骨頭に断裂状態の腱板をくっつけていく手術療法として、関節鏡視下腱板修復手術を行っていきますが、あまりにも断裂が大きければ直視下で行われます。