骨粗しょう症とは

骨粗しょう症のイメージ写真

骨に含まれるカルシウムなどの量を骨量と言います。
これが何らかの原因によって低下してしまい、それによって骨の強度が脆くなるなどして、骨が折れやすくなってしまう状態です。
からだの中の骨は生きています。同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。
骨粗しょう症は、このバランスが崩れることでおこり、骨がスカスカになってきます。
女性の患者数が多いのが特徴で、その数は男性患者の3倍程度と言われています。
ちなみに80歳以上の女性の半数以上が罹患しているとも言われています。

原発性と続発性

骨粗しょう症は、原因によって主に2つに分類されます。
ひとつは原発性骨粗しょう症と呼ばれるもので、これは原因が特定できない骨粗しょう症とされているものですが、加齢(老人性骨粗しょう症)や閉経(閉経後骨粗しょう症)、不摂生な生活習慣、遺伝的要因などが関係していると言われています。
もうひとつは続発性骨粗しょう症で、これは何らかの原因があって発症する骨粗しょう症です。
具体的には、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、糖尿病、クッシング症候群、慢性腎臓病といった病気、ステロイド薬の投与による薬剤性などによって引き起こされる場合を言います。

ちなみに骨粗しょう患者様の多くは、閉経後の女性です。
この場合、閉経(多くは更年期とされる50歳前後の女性にみられる)によって、エストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少するわけですが、エストロゲンには、骨の新陳代謝に対して骨吸収のスピードを緩めるという働きがあります。
そのため、同ホルモンが分泌されない状態になると骨吸収のスピードは加速するばかりで、骨形成は追いつかなくなってしまい、骨が折れやすくなってしまうのです。
また閉経後骨粗しょう症の次に多いとされる老人性骨粗しょう症は、加齢によって新しい骨をつくる代謝作用、いわゆる骨リモデリングの進行速度が落ちていくようになるのですが、これが骨形成のスピードも低下させてしまうことで発症するのではないかと言われています。

よくみられる症状ですが、骨量が低下していくにあたって何かしらの自覚症状が現れることはありません。
そのため、ちょっとした転倒による骨折(転んで手をつく など)、椎体の圧迫骨折による症状(腰背部の痛み、身長の低下、脊柱の後弯変形 など)で気づくようになります。
なお同疾患で骨折しやすい部位とは、背骨、手首、太ももの付け根、腕の付け根で、背骨や太ももの付け根が折れるようになると寝たきり状態になりやすくなります。

検査について

骨密度測定装置

患者様の症状や訴えなどから骨粗しょう症が疑われる場合は、診断をつけるための検査として、レントゲン検査や骨密度検査が行われます。
レントゲン検査は骨折(圧迫骨折 など)の有無を調べるために行われます。
骨密度検査ですが、これは単位体積あたりの骨量(骨密度)を調べることで骨の強度を測定する検査になります。

骨密度検査の方法としては、DXA、QUS、MDなどいくつかあるのですが、一般的によく行われるのがDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)です。
これは2つの異なるエネルギーのX線を利用して骨密度を測定していくというものです。多くは腰椎と大腿骨近位部で測定していきます。
診断方法ですが、若い世代の方の骨密度の平均値(YAM値:腰椎は20~44歳、大腿骨近位部は20~29歳)の70%以下の数値が表示された場合に骨粗しょう症と診断されます(脆弱性骨折がない場合)。
当院ではこのDXA法を導入しており、定期的な骨粗しょう症検査を行っております。

治療について

続発性骨粗しょう症の場合は、原因とされる疾患の治療、原因とされる薬剤の中止あるいは減量といったことを行っていきます。
以下は、原発性骨粗しょう症の治療法となります。

骨粗しょう症は、骨の生活習慣病とも言われる病気なので、まず生活習慣の改善(食事療法、運動療法)から始めていきます。
食事療法としては、カルシウム及びその吸収を促進させるビタミンDをはじめ、ビタミンK、リン、マグネシウムなどが含まれた食品や適量のたんぱく質をとっていきます。
また骨を丈夫にするには負荷をかけていく必要があるので運動もしていきます。
その内容は、ハードな量は必要なく、息が弾む程度(1回30分程度のウォーキングなど)の有酸素運動で効果は期待できますが、できれば日光浴や転倒防止のための筋力やバランスを鍛える運動とも組み合わせるなどして、継続的に行うようにしてください。

さらに薬物療法も併行して行っていきます。
この場合、骨の形成を促進させる薬(PTH製剤 など)や骨吸収を抑制させる薬(ビスフォスフォネート製剤やSERM など)といった注射薬や内服薬、また骨吸収を抑制し、鎮痛効果もあるとされるカルシトニン製剤による注射などが用いられます。
当院では患者様の状態に応じて様々な薬物療法を行っております。