脊椎疾患とは

腰部脊柱管狭窄症のイメージの写真

脊椎とは、一般的には背骨と呼ばれる部分のことで、その範囲は頚椎から尾椎までを言います(椎骨が集まっている状態が脊柱)。
これらで起きた症状やケガのことを脊椎疾患と言います。主な脊椎疾患は次の通りです。

脊椎圧迫骨折

脊椎(背骨)を構成する円柱型の椎体がつぶれてしまい、扁平になったり、くさび状になったりしてしまった状態を脊椎圧迫骨折(胸腰椎圧迫骨折)と言います。
最近は骨粗しょう症で骨が脆くなってしまった高齢者によく見られ、転んで尻もちをつく、急に重たいものを持ち上げる、畑仕事などを長時間行う、といったことが原因で起こることがあります。その場合、胸椎から腰椎にかけた椎体に起こることがほとんどです。
痛みは骨盤付近(いわゆる腰)に起こることが多く、骨折の程度によって様々な痛みが発生します。軽度であればそれほど痛みを感じないこともありますが、重度の場合、痛みはもちろん、しびれや感覚の消失、足の筋力低下、麻痺などが起こることもあります。
診断はX線診断装置を使うほか、症状によってCTやMRIを使った検査を行っていきます。また、骨粗しょう症の検査も併せて行うこともあります。
治療の基本は保存療法となります。多くの圧迫骨折は時間がかかるものの、自然治癒が可能です。コルセットやギプスを身体に巻いて固定し、痛みを軽減させると同時に、椎体の変形が進行するのを防止します。治療には時間がかかりますが、その間も適度な運動は推奨されます。日常生活の運動量を維持することで、筋力の低下や骨密度の低下を防ぐ目的があります。また最近では、「BKP(Balloon Kyphoplasty:経皮的椎体形成術)」と呼ばれる治療法を行うケースも増えています。この治療法は数日の入院で済み、早期の痛みの改善が期待できる療法です。当院では患者様の病状に合わせ、近隣医療機関と連携を行ってBKP治療をご案内することができます。

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腰部脊柱管狭窄症

主に加齢により椎間を支える靭帯の肥厚が原因とされ、それによって脊柱管が狭窄し、様々な症状が現れている状態を腰部脊柱管狭窄症と言います。
50歳以上の方に発症しやすいのが特徴です。加齢のほかにも、運動や脊椎の何らかの病気が原因となることもあります。

よくみられる症状は間欠性跛行です。これは歩き始めこそ何の問題もないのですが、そのうち臀部や足に痛みやしびれが起きて歩けなくなります。
ただ休むことで再び歩けるようになります。これを繰り返している状態を言います。
また馬尾神経が圧迫されている場合は、両足や会陰部にしびれや灼熱感のほか、膀胱直腸障害などもみられることがあります。
このほか神経根が圧迫を受けている場合は、お尻の片側あるいは足に疼痛がみられるようになります。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板とは椎骨と椎骨の間にあるもので、脊椎(背骨)にかかる衝撃を和らげるほか、脊椎の可動を可能とする部位でもあります。
この椎間板(腰椎)が加齢もしくは姿勢の悪い状態を続ける、スポーツ、外傷などによって一部が変性、これによって椎間板の中心にある髄核が脱出し、これが神経(神経根 など)を圧迫し、腰痛や足に痛みが起きている状態を言います。
なお椎間板は腰椎以外にも存在するわけですが、変性しやすいのがこの腰椎と頸椎(首の部分)で、腰椎では第4腰椎と第5腰椎の間で起きやすいと言われ、20~40代の世代が発症しやすいと言われています。

よく見受けられる症状は、腰痛と足(下肢)の痛みですが、足については片側の痛み(しびれやだるい感じも含む)がほとんどで、ヘルニアが大きいと両側の足でみられるようになります。
なお髄核による圧迫で脊髄が障害を受けると痙性麻痺、神経根が障害を受けるとお尻の部位や片側の足に疼痛、馬尾神経が障害を受けると膀胱直腸障害(排尿、排便がしずらい)などが起きるようになります。

当院では腰椎椎間板ヘルニアの治療に椎間板酵素注入療法(ヘルコニア注入)をご案内できます。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎(首の部分)にある椎間板が加齢をはじめ、負担のかかる姿勢や運動、あるいは外傷によって一部が変性し、それによって椎間板から髄核が脱出、これが脊髄や神経根を圧迫するなどして痛みなどの症状が現れている状態が頚椎椎間板ヘルニアです。
30~50歳の世代でよく起きるとされ、第5頚椎と第6頸椎の間が最も変性しやすくなります。

主な症状は、首や肩の痛みやこりといったものですが、髄核によって脊髄が圧迫されていると上肢(肩関節から手指までの部分)や下肢(股関節から足指までの部分)に痙性麻痺が、また神経根が圧迫されていると片側の上肢に疼痛がみられるほか、感覚障害や運動障害も伴うようになります。
なお上肢のしびれの症状は、他の整形外科疾患(手根管症候群、頚椎症性脊髄症 など)や内科疾患(糖尿病 など)の可能性もありますので、しっかり原因を特定させるようにしてください。

脊椎損傷

強い外力が脊椎(背骨)に加わってしまうことで、骨折や脱臼が起きている状態が脊椎損傷です。
原因としては、交通事故、スポーツ外傷、高い場所からの飛び降りといった高エネルギー外傷によって発生することが多いですが、骨粗しょう症の発症による脊椎骨折というケースも増えてきています。
この場合は、そんな強くない外力でも脊椎損傷が起きるようになります。
また脊髄が非常に近い場所にあるので脊髄損傷を併発することもあります。

脊椎損傷は、頸椎や胸腰椎移行部で起きることが多く、発生すると頚部や背中にうずくような痛みがみられ、身体を動かすことが非常に困難となります。
また骨のかけらが神経根や脊髄を圧迫するようになると手足にしびれ(感覚障害)、筋力低下や運動障害がみられるようになります。

脊髄損傷

脊髄には、脳からの指令を伝える神経、触れるなどして感じたものを脳に伝える神経があるのですが、これを取り囲んでいるのが脊椎です。
つまり脊椎の中の脊柱管を通っている太い神経が脊髄で、ここが損傷を受けている状態を脊髄損傷と言います。

脊髄損傷は、交通事故やスポーツ外傷、高所からの転落といった高エネルギー外傷、脊柱管狭窄症を発症している高齢者が転倒などそれほど強くない外力によって引き起こされることもあります。
ただこの場合は、脊椎には骨折や脱臼などがみられないこともあります。
20代と60代前後の患者様が多いと言われています。

同疾患による主な症状ですが、上肢・下肢の感覚障害や運動障害(麻痺)、自律神経障害などがみられますが、損傷部位によって異なります。
例えば、頚髄を損傷している場合は四肢(上肢下肢)の感覚障害や運動障害が、胸髄や腰髄が損傷している場合は下肢に感覚障害や運動障害が現れます。
麻痺が高度であればあるほど合併症を発症させるリスクは高く、自律神経が障害されることで排尿障害や血圧が低下するなどの症状が起き、損傷部位によっては命に影響することもあります。